その一。

高島商会 
■音更町大通2

「地域のため」使命感胸に専門店化


 「きょうは何をお探しですか」-。店の2代目で現代表の高島博司さん(77)が笑顔で商品を紹介する。カウンターの脇にはいすとお茶が用意され、思わず話し込む常連客の姿もある。地域に根差した店ならではの温かい雰囲気が店内を包む。

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創業約80年の高島商会。金物用品がびっしりと並ぶ店内で、2代目の博司さんが笑顔で接客する

 高島商会は音更本町唯一の金物専門店。1926年の創業以来、金物販売を中心に商いを進めてきた。

 長い歴史の中には苦労も多い。戦時中は一時期、閉店にも追い込まれた。「大変だっただろう」と博司さんは、創業者で父の佐一さんを思う。店は49年に再開、「販売業を通じて戦後復興に貢献した」と振り返る。

 67年に佐一さんは亡くなり、博司さんが店を継いだ。大きな転機は98年。町の中央通商店街近代化事業で店舗を移動し、売り場を大幅に改装した。日用品や雑貨を減らし、金物関係の専門店として大型店との差別化を図った。「時代の変化でやめた店も多いが、地域を盛り上げる使命が店にはある。責任を果たしたい」と博司さんは熱く語る。

 現在、330平方メートルある店内には、工具や山林用具、家庭金物用品などが所狭しと並ぶ。長男正司さん(48)夫婦も店の経営に携わる。

 「先は明るくないかもしれない。それでも、地域のために頑張りたい」。博司さんの言葉には、まちとともに歩んできた老舗の誇りがにじむ。

(新目七恵)(05.05.03)

十勝毎日新聞より先代社長

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